冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

   「その者達が選んだ中から、側妃をもたれるのでしょう。」



 言いよどんで、瞳をゆらしているアシュレのかわりに、リューリ
 が言葉をひきついで言う。



   「知っていたのか。」

   「はい、当然だと思いました。」

   「当然だと?」



 アシュレは再び、眉間にしわをよせた。



   「私では役に立ちませぬゆえ、側妃をもたれるのは
    当然でございます。」



 アシュレは何も言わない。

 リューリはなおさら声を張り上げた。



   「皆さん、大変に美しい方ばかりでしたね。特にシルビア様は
    美しく、アシュレ様とお似合いでございました。」



 胸が痛む。

 リューリは言いながら、自分で自分の胸に杭をうちこんでいるような
 気がした。



  
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