冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
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クルセルト国は、本格的な冬を迎え、雪が降る日がおおくなった。
季節風のかげんか、オニギスよりは寒さがきびしい気がする。
リューリは窓につもった雪をながめた。
「今日の午後のお茶会も取りやめになりました。
カーロイル伯爵夫人は、寒さで体調をくずされている
とのことです。」
「そう、わかりました。」
最近、雪や体調を理由に、午後のお茶会が取りやめになることがふえた。
確かにそうなのかもしれないが、本当は貴族達は自分に関心を失ったのだと
リューリは気がついていた。
同じ王城にいるシルビアのところへ皆、足を運んでいるのだ。
子を生さない皇妃などよりも、次期王を生むかもしれないシルビアの
方に取り入っておく。
王族として育ったリューリは、貴族がそういった考え方をするものだと
よくわかっていたし、裏切られた気持ちもわかなかった。
先に裏切ったのは、私の方かもしれない。
子を生すことを拒否したのは自分なのだから、、、。
リューリはそう思った。