冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
「お前がだまっていれば、問題にはならない。
それに俺は、どんなことがあってもパズラーン運河の交易路を
ひらき、国交をひろげるぞ。」
「そんなこと、、、できるはずがありません!」
リューリは叫んだ。
オニギスとクルセルトは北と東西を接しているが、
北は高峻な山々がつらなり、国交となる道は、細い。
だから、東西に接している、ひとつの運河が国交の要だ。
運河の通行料は両国に入るが、どちらの国も多くが運河のある土地
を治めている領主のもとに入る。
国に入るものは微々たるものだ。
その運河の交易路を開くということは、運河を国の管轄とし、
もっと自由に出入りできるようにするということ。
そうすれば、両国の領主からうらまれる事、間違いない。
今まで、両国の公主と皇帝が考え、だが実行できなかったことを
この男はやると言っている。
「そんなことを、お父様がお許しにはなりません。」
「父上とやらからは、了承の答えをもらっている。それがお前だ。
もっとも妾腹の娘をよこすなど、
消極的な了承というところだろうがな。」
はげしく抵抗するリューリの両手をぎりっとアシュレがつかむ。