冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 回廊を足早に歩きながら、アシュレはなんとか怒りを
 しずめようとした。


  (なぜ反対するかだって?)


 ダニエル=ウインギュスターと一緒なのが気に入らないのだ。
 
 だが、そんなこと言えるわけがない。


  (リューリめ!俺へのあてつけだろうか)


 だが、アシュレは実際に側妃を選んでいないし、
 シルビアのもとへも通っていない。

 だが、まわりはアシュレが側妃を選ぶものとしているし、
 それがシルビアだと決めてかかっている。


  (リューリもだ、俺の気持ちをわかろうともしない)


 
 アシュレは側妃など持ちたくなかった。

 
 だが、リューリが拒み続けるなら、自分はいずれ側妃をもたねば
 ならない。


 なぜなら自分は皇帝だから、、、。



 今まで、皇帝だということになんの不満ももったことはない。

 だが、今は、、、。」



 勢いをつけて歩いていた足の運びがゆっくりになり、
 やがてアシュレは立ち止まった。


 そなまましばらく薄暗い回廊で、アシュレは立ちつくしていた。

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