冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

   「私が気に入らないのなら、送り返せばすみます。
    オニギスにはまだ、王女が二人いるのですから。」

   「王女を簡単に取りかえるとは思えないな。
    もし、交易路が開かれれば激怒するやつがいくらでもいる。

    そいつらが、俺やお前の命をねらってくるだろう
    そこのところも読んで、お前を送りつけてきたんだろう。

    かわいそうに、お前はあいつらの楯にさせられたんだ。」



 リューリは目の前がまっくらになるような気がした。


 そういうことなのだ。

 生まれてすぐから、母と二人、王室から遠い北の離宮へ追いやられていた。
 母が亡くなった後も、そのまま。

 こうして呼び戻されたのも、命の危険があるようなところへなど
 正妃の娘達を行かせるわけにはいかないから、、、、。



 リューリは強く、アシュレの肩を押していた両手をはなし、
 自分の顔を覆った。

 急におとなしくなったリューリの顔の両脇から手をどかせ
 アシュレは体をおこすと、ため息を落とした。



   「悪いが国にかえすわけにはいかない。
    俺と一緒に、交易路をひらくために働いてもらう。」

   「...........ればいい。」

   「なんだ?」

   「好きにすれば、、、、いいと言いました。」



 

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