冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

   「今日はなんのことでいらしたのかしら、イーノック?」



 何もいわないイーノックにリューリが問うと、イーノックは
 目を伏せたまま口をひらいた。



   「皇帝陛下のことです。」

   「陛下の?」

   「最近、陛下と二人で過ごされていますか?」

   「夕食を共にしているわ。」

   「それ以外は?」

   「それは、、、。」



 言いよどんだリューリにイーノックが畳み掛ける。



   「寝室も共にしておいででないと聞きました。」

   「それは、、、陛下にはシルビア様がいらっしゃるから。」



 リューリは自分で言って、傷ついた顔をした。



   「シルビア様は側妃ではありません。」

   「でも、、陛下が気に入っておられるのはシルビア様だわ。」



 やはりリューリは誤解している。
 
 イーノックは慌てた。
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