冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
「そうではありません、陛下が本当に想っておられる方は、、」
「そんな大切なことを、側近とはいえ君が軽々しく
口にしていいの?」
突然聞こえてきた声にリューリとイーノックが声をした方を振り向くと
部屋の入り口にダニエルが立っていた。
イーノックが慌てて立ち上がり、ダニエルに礼をする。
つかつかとリューリの側まで歩いてきたダニエルは、
リューリの隣に座り、やさしくリューリに微笑みかけた。
「いやなことは聞かない方がいいですよ、
あなたはそれを命じることができるのだから。」
「ダニエル、、。」
リューリがダニエルを名前で呼んだのを聞いて、イーノックの肩が
ぴくりっと動いた。
それを目の端で見ながら、ダニエルはイーノックを強い口調で責めた。
「妃殿下は、ここで心やすらかに過ごしておいでだ、
誰ものも、それを邪魔立てすることは許されないよ
退室したまえ。」
「はっ。」
イーノックは顔を強ばらせたまま部屋をでていった。