冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
「妃殿下、今日はお約束のものを持ってきました。」
イーノックがでていくと、ダニエルは満面の笑みをうかべて
リューリをふりかえった。
「ほら、ここに、、、あれ、
おかしいな、ここに確かにいれたはずなのに、、、。」
ダニエルが懐を探る様子がおかしくて、リューリは笑いをもらした。
「妃殿下が、心待ちにしていらっしゃると思い、いそいで
やってきたのに、、、。」
リューリが頼んだのは、西の領でしかとれないといわれる
銀色の蚕から作られた糸。
ほんの一房手にいれるのも大変なものだ。
「私は急いでおりません。次の機会で大丈夫ですわ。」
「それでも、、私はすぐに西の領にもどらなければなりません、
次にお逢いできるのは、いつのことになるか、、、。」
「仕方ありませんね。」
リューリはため息をついた。