冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 エルダは足早に執務室に向かいながらも、心の中
 では戸惑っていた。


  (リューリ様がウインギュスター様と駆け落ち?!
   いや、、まさか!)


 しかし、リューリの姿がないことはたしかだ。

 なんとか内密にこのことを相談できる人は、、、
 と考えて、イーノックの顔が頭にうかんだ。

 彼はリューリ様に好意的だ。

 きっと善処してくれるにちがいない。

 そのイーノックをさがして、エルダは執務室にむかっている。



 幸いなことに、執務室にアシュレの姿はなく、イーノックが
 ひとりでいた。



   「なんだね、エルダ? こんな時間に、、、。」



 そう問われても、エルダはまだ迷っていた。



   「あのぅ、、、そのぅ、、、。」

   「?」

   「あの、、リューリ様が、、、。」

   「妃殿下がどうされたのだ?」



 エルダは心を決めた。



   「お姿がみえないのです。ですが、、、ひょっとしたら
    駆け落ちの可能性もありまして、、、
    ですから、、、イーノック様にご相談をと、、、。」
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