冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 ひどくズキズキと頭がいたんで、リューリは目を覚ました。

 目の前がぼうっとする。

 なぜ、寝台に横になっているのだろう。

 私は確か、機織り部屋にいたはず。

 そこへダニエルがたずねて来て、、、。

 思い出そうとしたところで、向かい側の暗がりから声がして

 リューリはギクリっと体を強ばらせた。



   「お目覚めですかな、皇帝妃殿下。」



 それはよく知った声だった。

 だが、いつものような明るさはない。



   「ダ、ダニエル、、、。」



 微笑みをうかべてダニエルは近づいてきた。

 そう、その顔にはいつものように笑みが浮かんでいるのに
 まるで知らない顔に見える。

 リューリは後ろに後ずさった。

 そして回りを見る。



 ここは本当にどこなんだろう?

 寝かされていたのは、古びた寝台、そして後ろには壁。

 粗末な部屋の中にはたいした物はなくて、カーテンすら
 かかっていない窓からは、冴え冴えとした三日月がみえた。
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