冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 突き飛ばされて怒ったダニエルは、今度はドレスのスカート
 部分にナイフをいれ、切り裂いた。

 ほっそりとした、白い足が晒され、リューリは固く膝頭をあわせる。

 そんなリューリの姿に満足そうに笑うと、ダニエルはナイフを置き、
 リューリの顔の両脇に手を置いた。



   「死体のドレスが乱れていたら、皆、なんと噂するでしょうね。」



 信じられない気持ちで、リューリはにやりと笑うダニエルの顔を見つめた。

 私は、なんと愚かだったのだろう。

 すっかりだまされていたのだ、、、。



 その時、急に階下が騒がしくなった。

 ドタドタと人が走り回る音が聞こえる。



   「ちっ、なんだ。」



 ダニエルは顔をあげ舌打ちすると、リューリから離れドアの方
 に歩んでいく。

 あと数歩というところで、ドアが外側から乱暴に開け放たれた。




 そこには、息を荒げたアシュレが立っていた。

 部屋の中にはダニエルとリューリだけ。

 おびえた顔をしたリューリは古ぼけた寝台の上にいるが、肩と胸が
 はだけられ、裾も大きくきりさかれ、足が露になっている。

 何が行なわれようとしていたか、一目瞭然だ。

 アシュレは頭に血がのぼるのを感じた。

 
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