冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
それにこの機に乗じて、アシュレはうまくシルビアも
王宮から退けていた。
ウインギュスターの家名が地に落ちかけているのだ、
もう側妃になろうなどと野心をもつことはあるまい。
「今回のことは、私とウインギュスター卿の仲に嫉妬した
皇帝陛下がウインギュスター卿を殺し、それを知って
シルビア様は西の領に帰ってしまったのだと噂しているものが
あるとききます。
皇帝陛下の名に傷がつくことは、、、。」
「言いたい奴には、言わせておけばよい。」
「しかし、、、。」
リューリは顔をゆがませた。
アシュレは何も悪くないのだ。
「私は権力を手にするために、父親を殺した男だぞ、
妃の恋人に嫉妬して、殺すぐらいのことはするだろうさ。」
「ウインギュスター卿は、私の恋人ではありません。」
「本当にそうだろうか、、、。」
非難する口調ではなかったが、アシュレの口から呟くように
漏れた言葉には、切ない響きがあった。
リューリははっと顔をあげる。
じっとリューリを見つめるアシュレと目があった。
アシュレの瞳は熱を孕んでいてそらすことができない。
「リューリの心はダニエルのものになったのだと
そう思っていた、、、。」
アシュレもリューリから目をそらさない。