冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
(2)
今、鏡にうつるのは、純白のドレスを着て、
頭に花飾りとベールをつけた、表情をなくした娘。
リューリは、鏡にうつる自分の姿を見ていた。
否、実際は目に映っていなかったのかもしれない。
本当に見えていたのは、絶望の淵を覗き込む、自分の姿だ。
一ヶ月は瞬く間にすぎ、リューリはアシュレとの婚姻の日をむかえていた
「本当に、なんてお綺麗なんでしょう。
亡くなったリューリ様のお母様にも
見せてさしあげたいですねぇ。」
リューリの後ろに立って、エルダがほぉーとため息とともに言う。