冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
 
 突然名前を呼ばれたと思ったら、口元を指でぬぐわれ
 リューリはぽかんとした。



   「ソースがついていた。」



 アシュレはそう言って、ソースのついた指をぺろりと舐めた。

 たったそれだけのことなのに、アシュレの仕草にリューリはまっ赤
 になった。

 赤くなったリューリをみて、アシュレはくすくす笑っている。



 スケートも楽しんだ。

 アシュレはうまく滑れるが、リューリは初めてだ。

 へっぴり腰のリューリの体に手を回し、アシュレはうまくリード
 してくれる。

 体が隙間なく触れ合っていて、リューリはここでもまっ赤になった。



   「陛下はどうしてそんなにお上手なんですか?」

   「王子の頃はひとりでよく山荘に泊まりにきて、このスケート
    場にかよっていたからな。
    やっぱりこうやって質素な服を着て、王子だとわからないようにしてね。」



 リューリにスケートを教える合間に、アシュレはスケート競技にでたり
 アイスホッケーの地元チームに加わって活躍したりした。


  (城で見るアシュレとは別人みたい、、、)


 そういえば、アシュレはよく笑うようになった。

 張り付けた偽物の笑みではなく、心から笑っている。

 たくさんの人にかこまれて笑っているアシュレをみてリューリの
 顔もほころんだ。

 
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