冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
「その時は、傷つけたことも平気だった。だが、一年たって
こんなにも自分の気持ちが変わっていることに驚いた。
今はあのときの自分がゆるせない。」
「もったいのうございます。陛下。もう済んだことですもの。」
「あの時の言葉を取り消して、今、もう一度、そなたに世継ぎを
生んでもらうことを望めば、、、受けてくれるか。」
「、、、、っ!」
「いや、世継ぎが大切なのではない。私が望むのは、
リューリそのものだ。」
そう言って、アシュレはリューリの指先を手にとり、柔らかくつつむ。
「今日逃げ出したのは、俺が街娘といっしょにいるところを
見たからか?」
繋いだ指先が震える。
その震えは、リューリの心も震わし、真実を告げたいと思わせた。
「陛下があの娘とキスをしているように見えました。」
「目にゴミが入ったといわれ見ていただけだ。」
アシュレが苦笑いをもらす。
「でも、そうは思えなくて、頭の中にいろいろな考えが
ぐるぐると巡って、、、胸が苦しかった。
シルビア様がいたときと同じ胸の痛みでした。ようやく私は
気がついて、、、、
嫉妬していたのだと、、、。」
「リューリ?」
「いつの間にか、私は陛下をお慕いしていたようです。
気づくのが、、、遅く、、、なって、、、。」