冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 (国元で何かあったのだろか、、、まさか、、、!)

 
 オニギスの王族が、アシュレの行動にまゆをひそめるのも
 かまわず、アシュレは使者を近くに呼び寄せた。



   「何があった。」

   「はっ、それが、、、。」



 使者の言葉を聞いたアシュレは、椅子をならして立ち上がると、
 オニギスの公のもとへ足早に近づき、丁寧に腰をおった。



   「まことに失礼とは存じますが、すぐ国元へ出立いたします。」

   「しかし、まだ調印の儀はおわっておりませんぞ。」

   「何をおいても優先すべき事態がおきましたので。」

   「それは、どのような?」



 そう聞いた、オニギス公にアシュレは笑みを返しただけだ。



   「それでは!」



 唖然とする王族達を尻目に、アシュレはカツカツと靴音を響かせ
 広間を出て行った。
< 156 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop