冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
(国元で何かあったのだろか、、、まさか、、、!)
オニギスの王族が、アシュレの行動にまゆをひそめるのも
かまわず、アシュレは使者を近くに呼び寄せた。
「何があった。」
「はっ、それが、、、。」
使者の言葉を聞いたアシュレは、椅子をならして立ち上がると、
オニギスの公のもとへ足早に近づき、丁寧に腰をおった。
「まことに失礼とは存じますが、すぐ国元へ出立いたします。」
「しかし、まだ調印の儀はおわっておりませんぞ。」
「何をおいても優先すべき事態がおきましたので。」
「それは、どのような?」
そう聞いた、オニギス公にアシュレは笑みを返しただけだ。
「それでは!」
唖然とする王族達を尻目に、アシュレはカツカツと靴音を響かせ
広間を出て行った。