冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

   「だからエルダ、
    陛下はまだ四日後にしかお戻りにならないのよ。
    その間にでもやれることはやっておきたいの。」

   「しかし、リューリ様、アシュレ様はきっと”ふたりで”と
    おっしゃると思いますわ。」

   「それは、、、。」



 そこまで言って、リューリは口を閉じた。

 どたどたと騒がしい足音が聞こえたからだ。

 エルダも怪訝そうに、扉の方を見る。


 そして、バンっと勢いよく扉が開け放たれ、あらわれたのは
 アシュレだった。



   「陛下!」



 びっくりして叫び声をあげたリューリのもとにつかつかと歩み寄り
 アシュレはリューリの顔を両手でつつみこむと、切なげな声で名を呼ぶ。



   「リューリ。」

   「陛下、あの、オニギスにいらしたのでは、、、?」



 目を丸くしながら、そう聞く妻にアシュレは少しイラっとした。



   「使者からあのようなことを聞いて、落ち着いてオニギスに
    いられると思うか?」

   「でも、調印式は昨日でございましょう?」



 息せき切って駆けつけたというのに、リューリはまだそんなことを言うのか!

 アシュレはさらに、イラっとした。
 
   
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