冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

   「調印式なぞ、、、途中で抜け出してきた。」

   「は?」

   「調印はした、だから問題はない。」



 きっぱりと言いきったアシュレは、リューリが何か言うより早く
 リューリの唇を口付けで塞いだ。

 甘く深い口付けは、リューリの体を火照らせ、リューリはそれ以上
 アシュレを問いただすことが出来なくなってしまった。

 そんなリューリをみて、にやりと笑うと、アシュレは身をかがめて
 妻の瞳を覗き込む。



   「それよりも、使者のいったことは本当か?」

   「はい、、、。」



 熱のこもったアシュレの眼差しに、俯きながらリューリはそっと
 手をお腹の上におく。

 そんなリューリの様子にアシュレは満面に笑みをひろげ



   「でかした!」



 と叫ぶと、リューリを抱き上げくるくるとまわした。

 エルダが目を見開きながら叫ぶ。



   「陛下、危のうございます。お腹の子にさわります。」

 
< 158 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop