冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
婚礼の儀式のあとは、皇帝妃としての戴冠の儀式、
そしてそれらに引き続き、夜会がひらかれて、すべての行事が
終わったのは、もうあと一時間もすれば日付が変わるという頃だった。
やっと寝台に潜り込めると思ったリューリは、女官達の手で
入念に体を洗われ、そして体や髪の手入れを施されている。
その時になってやっとリューリは、今日からはいつもの寝台では
休めないこと、そして、すべての儀式が終わったわけではないと
いうことに気がついた。
体と髪の手入れが終わると、レースをあしらった美しい夜着をきせられ
女官達に手を引かれて、大人がゆうに三人は眠れそうな、
寝台だけが置かれた部屋へみちびかれる。
寝台のわきに立ったリューリを残し、女官達は腰をおって礼をすると
部屋をでていった。