冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 ただ、所在なく立ちつくしていたのに、
   
   「そんなところで突っ立っていられたら
    こっちが眠れん。」



 そう言って、眠ったかと思ったアシュレが、
 掛け布をめくると起き上がった。

 そして寝台から降りたかと思うと、ずんずん歩いてリューリに
 近づいてくる。



   「え、きゃ、きゃあ。」



 横抱きに抱き上げられ、気がつくと寝台の上におろされていた。


 また、この間のように、酷い扱いを受けるのだ、と
 リューリは思った。

 いくら結婚したとはいえ、あんなふうに力ずくで、純潔を
 奪われるのはいやだ。

 リューリは手足をぎゅっと縮こませると、芋虫のようになって
 転がった。






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