冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
「ところでどうだ、お妃教育はすすんでいるか。」
アシュレは紅茶のカップを受け取りながら、それを差し出している
ハドリーに目をむけた。
「はい、リューリ様は飲み込みもはやく、勉強熱心であられます。
ただ、今まで培ってきたものがないようで、
憶えなければいけない事は多岐におよんでおりまして、、、。」
「北の離宮においやられていた身です。
王女教育などうけておられないのでしょう。」
補佐官のイーノックが、横から口をはさんだ。
「基本的な礼儀作法などは申し分なく、、、
ただ、どちらかというと、使用人がやるような事を
得意としていらっしゃるようです。
裁縫に料理、庭しごとなどです。」
ぶっとアシュレは紅茶を吹き出しそうになった。
「なんだ、それは、、、。」
「飲み込みが早くていらっしゃいますので、少しはやく
授業が終わりますと、庭にでて、庭師と一緒に。」
「庭仕事をしていると、、、。」
「はい。」
「おとなしいだけのお姫様かと思っていましたが、、。」
イーノックが笑いを含んだ声で言う。