冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 確かにそうだとアシュレも思う。

 夜会の夜に徹底的に傷つけてから、婚姻の時も
 無表情で死んだような顔をしていた。

 妻とは名ばかり、政治上の駒にすぎない。

 だから感情を持たない方が良いと、そのまま捨て置いたのに、、。



   「やめさせた方がいいと、お考えでしょうか?」



 ハドリーが、アシュレの顔色を伺うように聞いてきた。



   「あ、あぁ、、いや、、、。」



 その答えを聞いて、ハドリーがほっと安心したように息をはくのが
 見えた。



   「どうした、ハドリー。皇妃の肩をもつのか。」



 わざと、意地悪な聞き方をしてやる。



   「いえ、そのようなつもりはありませんが、リューリ様が
    心安くしてくださるのを、使用人達が喜んでおりますので、。」

   「なに?」

   「そうなんだ。いや、良い事だと思いますね。
    前皇帝がいらした頃から王宮内はギスギスしていましたから。
    そういう明るい話題はいい。」




 顔色を変えたアシュレに対して、イーノックが明るい口調で言い、



   「そうなんでございますよ。」



 と、ハドリーもニコニコ笑っている。
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