冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
四ヶ月を過ぎて、リューリは祖国の北の離宮でしていたように
裁縫や料理、庭いじりの時間をもつようにしていた。
最初は反対されてしまうだろうと思っていたのだが、
王宮の使用人達は、意外と敵国からきた余所者のリューリを
うけいれてくれた。
もっとも、王族が、料理や庭仕事ができるとは思っていなかったらしく
ただ単に、身分の高いもの特有のきまぐれだろうと思っていたようだ。
見事にリューリが裁縫や料理をこなすのを見て、使用人達は
開いた口がふさがらない、、、といったところ。
ひとり悦にはいっていたのは、侍女のエルダだった。
「さすが、リューリ様ですわ。ほらみてごらんなさい。」
頻繁に、使用人が働く場所へ出入りするうちに、
親しく会話するようになり、、、。
リューリも表裏のない使用人達とのおしゃべりを楽しんで
いるのだが、ひとつ気になることは、、
使用人達が、みんなそろって、アシュレを褒め讃えることだ。
そりゃ、自分の雇い主だもの、悪口は言えないにきまっている。
だけど、そんなこととは別に、使用人達は、それも身分の低いものほど
アシュレを敬愛している。
リューリには、それが信じられなかった。
だって、リューリからみるアシュレは、冷たい心の持ち主だったから。
なぜ、あんなに冷たい目をしているのだろう。
心を全部、どこかに置いてきてしまったかのように。