冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
そう考えながら、中庭を突っ切って、住まいのある東の宮に
戻ろうとして、バラの茂みの近くで、まだ産毛につつまれた
鳥のヒナが一羽、ピイピイと鳴きさけんでいるのを見つけた。
「あら、おまえどうしたの?」
リューリはそっと、ヒナを手のひらに救い上げると回りをきょろきょろ
見回した。
(あった、あそこだわ)
見上げた回廊近くの木に、鳥の巣がある。
きっとあそこから落ちてしまったのだろう。
巣はそれほど高いところにあるわけではない。
ギイロがつかっているはしごを持ってくれば届かない事はないだろう。
でも、ギイロは王都へむかって出て行ってしまった。
(短いはしごなら私でも持って来れるし、登れない事もないわ
その後は木を伝っていけば、、、
ドレスも庭仕事のあとで、動きやすいものをきているし、、、)
リューリはにっこりと笑った。