冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

   「リューリ様、だいじょうぶでございますか?」

   「ええ、まさか
    着いた翌日に夜会だとは思わなかったけれど」


 
 数人の女官がリューリの身支度を終え、去っていったのをみて
 エルダがそっと、リューリの手をにぎった。

 だいじょうぶだと答えたものの、三日にわたる長い馬車の旅のあとだ。

 体の節々が、まだ痛くてしょうがない。


 それなのにギュウギュウにコルセットをひきしぼられ、
 髪もきっちりと結いあげられて。


 
 その上、これから衆人の目の元にさらされに行くのかと思うと
 ため息がでる。

 おまけに、昨日の夕方に城についてから、今にいたるまで
 皇帝陛下にはお目にかかっていない。

 今晩、逢う事になるのだろうけど

 自分がどこにいて、どう振る舞えばよいか、見当もつかないだけに
 大勢の目がある中での初めての謁見は、気がおもかった。



 何度目になるかわからないため息をそっと吐いたところで
 コンコンと部屋の扉がノックされた。

 
< 3 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop