冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
「え、あ、きゃあ。」
「うるさい。」
そういわれて、あらためて黒髪を見直すと、アシュレだった。
「皇帝陛下!」
「だから。うるさいと言っている。」
そういって、抱く力をゆるめ、リューリの顔をのぞきこんだ
アシュレの目は、いつもの冷たい目ではなかった。
リューリの顔をのぞきこみ、体をたしかめ、ケガがなかったかを
見ている。
あまりに近いアシュレとの距離にリューリは頬があかくなるのを
感じた。
ケガがなかったのを確かめると、ふーっと息をはいたアシュレは
リューリの腕をぐいっと引っ張って歩きはじめた。
「あ、あの、皇帝陛下!」
リューリが叫んでも、アシュレの歩くスピードは弱まらない。
そのまま、アシュレの部屋までつれていかれて
やっとアシュレはリューリの腕をはなした。