冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
(4)
リューリがクルセルトに来て、八ヶ月が過ぎようとしていた。
「八ヶ月間、よく勉強をがんばられましたリューリ様にご褒美の
里帰り、そして、それに付随する役官の視察でございます。」
そう言って、イーノックはリューリにむかって微笑んだ。
だが、後ろからアシュレがやってきて言う。
「里帰りとみせかけての視察だ。 大事なのは、視察のほうだ。」
「アシュレ様』
イーノックがたしなめるが、アシュレは軽く鼻で笑うと言った。
「いいんだ。皇妃にもわきまえておいてもらわないとな。
オニギス公も飲み込んでいる。自分では出来ないから、俺たちに
やらせる腹づもりだ。
オニギスの許可証を持って、パズラーン運河を治めている
アッカースン侯爵の地に視察に行ってくれ。
皇妃が行くのは、目くらましだ。
皇妃が侯爵の相手をしているうちに、イーノックが領内で
必要な情報を集める。」
「リューリ様、だいじょうぶですか?」
イーノックが心配そうに、リューリを見る。
「はい、、、。」
リューリは強ばった顔のまま答えた。