冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
「では、どうかしら。運河を行く船の上で、このワインを
味わうというのは、、、。こういった遊びも、アッカースン殿
の船で、提供できるとなれば、より魅力的でしょう。」
「なるほど、そうですな!」
「では早速、私たちで、ワインの試飲をかねた船遊びを
やってみませんこと?」
「それはいい、早速明日の手配を。」
「楽しみですわ!」
アッカースンにしなだれかかったりはしないものの、
媚びを売っている感覚はある。
リューリは自分で自分に嫌悪感を抱いた。
鼻の下をのばすアッカースンを見ていて、リューリは遠くはなれた
クルセルトの西の領で、同じように寄り添うアシュレとシルビアを
思い浮かべた。
そうすると、すぐにでも、クルセルト国に帰りたい、アシュレの元に
行かなければという気持ちが沸き起こるが、でもそのすぐ後には、
やはり帰りたくない、、と思うのだった。
離れていれば、いやな話しを耳に入れないですむ。
結婚して、八ヶ月以上もたつのに、キスひとつしたことのない
夫婦だということを思い知らされないですむ。
少なくとも、アッカースンとの遊びに興じているうちは、、、。