冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 ワインセラーの報告とともに、他の部屋を見回っていた者達も
 次々とアッカースンの元に報告にやって来る。

 その報告どれもが、”異常は見当たらない”だった。


 報告を受けるたび、アッカースンはイライラと、部屋の中を
 歩き回った。



   「もう一度、屋敷のまわりをくまなく探すんだ。」



 そう命令してアッカースンは、もう一度、リューリの方へ
 向き直る。

 リューリはずっと肩を竦め、俯いていた。



   「では、ロビーの絨毯にあった血の跡も、リューリイム様
    のものですかな。」

   「そうだと思います。ワインセラーから出て、私、慌てて
    ロビーを突っ切って、部屋に戻ってきたのです。」

   「ふむ。」



 アッカースンは苛立っていた。

 確かに皇妃の言うことは、間違っていない。

 

 だが、しかし、、、、。



 何かが、おかしい。
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