冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
アッカースンは、リューリのドレスの袖口から見える包帯に
目を留めた。
包帯を巻いていれば、ケガだとだれもが思う。
だが、しかし本当にそうだろうか?
皇帝妃が犯人だとは思いたくないが、アッカースンのカンは
あやしいと知らせている。
アッカースンは自分のカンに従う事にした。
にやりと不適な笑みをくちもとに浮かばせ、アッカースンは言った。
「では、リューリイム様、その包帯をといて、傷口をみせて
もらえませぬかな。」
イーノックはごくりと唾を飲み込んだ。
横目でリューリを見るが、その顔は青ざめているようにも見えるし、
平然としているようにも見える。
「ずいぶんと私をお疑いのようですわね。よろしいですわ。」
そう、リューリは言うと、ドレスの袖をまくりあげ、そこにまかれた
包帯を取り払っていく。
緊張をはらんだ、ピンと張りつめた空気が部屋中に満ちていた。
誰もが、リューリの動きをじっと見つめている。
包帯がすべて取り払われ、はらりと落ちた。