冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
オニギスに行くまえと、なんらかわりない日常が戻ってきて
貴族の女性達を迎えてのお茶会も、また再会された。
「お久しぶりでございます、妃殿下。
オニギスはいかがでございました?」
そんな会話ではじまるお茶会だったが、最近なぜか赤ん坊の話題が
多い。
どこそこの誰夫人に第一子が誕生しただの、ほら、あの夫人が妊娠したら
しいの、、、
お茶会の最中に、誰かが一度は、そういったことを口にし、
ちらり、ちらりと視線を交わしあう。
リューリがクルセルトにきたのは、冬の終わりだったが、春、夏、
をすぎ、今は秋のさかりだ。
(クルセルトは秋が出産のシーズンなのかしら?)
にこやかに、御夫人達の会話をききながら、リューリはそんなこと
を思った。
エルダにそのことを話すと、エルダは心得顔に言った。
「まあ、リューリ様。御夫人方は遠回しに、リューリ様とアシュレ様
のお子様はまだですか?と問いかけてみえるのですわ。」
「なっ、、!」
「あからさまにはきけませんからねえ。でも、もうあと三ヶ月
もすれば輿入れして一年ですもの。
そんな話題がでても、おかしくはありませんわ。」
頭からさーっと血が引いていくきがする。リューリは額をおさえた。
まさか、九ヶ月になろうとするのに、まだキスさえしたことがないとは
きっと誰も思わないのだ。