冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 前のめりに、執務机に手をついていたイーノックは
 体をおこし、姿勢をただすと、まじまじとアシュレを見た。

 そして、”あー、こほん、”などとわざとらしい咳をひとつして
 イーノックは口をひらいた。



   「皇帝陛下におかれましては、お世継ぎの問題を如何なように
    なされているかと、、、。」

   「...................。」

   「これも大切な、皇帝としてのお務めでありますれば、、、。」

   「それが、今なんで関係がある?」



 アシュレの問いかけに、イーノックはますます、眉間の
 しわを深くすると言った。



   「リューリ様にちゃんとやさしくしているのか?ってことだよ。
    二人の時間は持てているのか?」

   「夕食をたまに一緒にとる。」

   「それだけ?」

   「そうだな。前はリューリが俺をよんで、お茶をふるまって
    くれたが、最近は呼ばれないな。」



 アシュレのなんともそっけない返事に、イーノックは
 頭をかかえこんだ。
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