冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
「それで、話しとは。」
ここは議場に続く、回廊の片隅だ。集議会が開かれる時でもなければ
ほとんど人はこない。
それでもウイズルは、左右に目を配ると、そっとアシュレに耳打ちを
した。
「実は、何人かの有力な貴族の方達と、今はあまり交流が
ありませんがアシュレ様の御祖父の代のころの王族の方達が、
集まって提案をしておるのですが、、、。」
「ふむ。」
ウイズルはさらに声を低める。
「陛下におかれましては、側妃をもたれるのがよろしいのでは
ないかと。」
背の低いウイズルにあわせて体を傾けていたアシュレは体をおこした。
「そんな話しか!くだらん。」
そういうがはやいか、身を翻し歩いていこうとする。
「ま、お待ちください、陛下。
先程も言いましたように、貴族や王族の方々のかなりまとまった
意見でして、無下になさるのはどうかと、、、。」
その貴族や王族とやらは、古すぎてカビの映えた連中のことだろう
とアシュレは思うが、口にはださないでいた。