冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
あてがわれたのは、すばらしい栗毛の馬。
おとなしい気性のその馬は、とても扱いしやすかった。
気候も良い、天気もよい。
遠乗りには申し分ないはずだったが、リューリはちらりと斜め前
をみやると、そっとわからぬようにため息を落とした。
リューリの斜め前には、荒々しさを感じさせる黒馬に乗ったアシュレが
いて、後ろには、この遠乗りをする場所を治めている領主とその友人
という貴族が二人、やはり馬に乗りついてくる。
そしてこの集団の回りを護衛の騎士達が取り囲んでいて。
(私は、自由気ままに馬を走らせてみたかっただけなのに、、、
これじゃあ、城の中にいるのと変わらないわ)
リューリはもう一度、ため息を落とした。
深い森に囲まれた草原で、ひとしきり馬を駆けさせた一行は
昼食をとるために、森をぬけ領主のもつ別荘へと向かっている。