冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 なんだか変なことになった、、、とリューリは食べ物を持ったかごを
 片手に持ち、もう一方の手で馬を御しているアシュレをちらりと見る。

 アシュレの提案がとても魅力的で、うらやましく思えて、、、、
 そう思って見ていたら、一緒にいくことになっていた。

 リューリにしてみたら、どちらがよかったかはわからない。

 一人で行こうとしたアシュレがうらやましかっただけで、供の者を
 つれたかた苦しさからは解放されたものの、相手はアシュレだ。

 気をつかうことにはかわりはない。



   「着いたぞ。」



 そう声をかけられて俯いていた顔をあげると、そこにはエメラルド色に
 輝く湖が広がっていた。



   「まぁー。」



 思わず声がでる。

 深いエメラルド色は絵の具をとかしこんだように美しく、
 水面がくっきりとまるで鏡のように周りの木々を映し出している。

 葉を落とした白っぽい木肌が、エメラルドに映えてまるで対になった
 絵をみているようだ。


 
 リューリは言葉もなく、その美しい湖を見つめていた。


 その間にアシュレは木の下に敷物をしいて、昼食を
 並べていた。

 見ほれていたリューリがはっと気がついた時には、もう昼食の
 準備は整えられていた。



   「私がやります。」
 
   「いい、もう済んだ。はらが減ったな。」



 もたもたしているリューリをおいて、アシュレはさっさとサンドイッチを
 食べはじめた。
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