冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
あまりにも慣れていて、自然な姿が意外な気がして、リューリが
アシュレをじっと見ていると
「なんだ?」
と声をかけられた。
「慣れておみえだなと思いました。」
「ああ、戦地ではいつも野外で食事だったからな。
もっともこんな豪勢な食事にはありつけなかったが、、。」
その言葉にアシュレが第一線で一兵卒と一緒に戦っていたのだと
わかる。
「王族は、安全な場所にいるものだと思っていました。」
「安全な場所など、くそくらえだな。」
ずいぶんな言い方にリューリが目を見開くと、アシュレは
いたずら坊主のように口をゆがめてみせた。
今日のアシュレはいつも城内で感じるような尊大で不遜な
壁を持ったアシュレではないような気がする。
青空の下で、緑にかこまれて、向かい合っているせいだろうか。