冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 あまりにも慣れていて、自然な姿が意外な気がして、リューリが
 アシュレをじっと見ていると



   「なんだ?」



 と声をかけられた。



   「慣れておみえだなと思いました。」

   「ああ、戦地ではいつも野外で食事だったからな。
    もっともこんな豪勢な食事にはありつけなかったが、、。」



 その言葉にアシュレが第一線で一兵卒と一緒に戦っていたのだと
 わかる。



   「王族は、安全な場所にいるものだと思っていました。」

   「安全な場所など、くそくらえだな。」



 ずいぶんな言い方にリューリが目を見開くと、アシュレは
 いたずら坊主のように口をゆがめてみせた。



 今日のアシュレはいつも城内で感じるような尊大で不遜な
 壁を持ったアシュレではないような気がする。

 青空の下で、緑にかこまれて、向かい合っているせいだろうか。
< 73 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop