冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
(8)

   「クルセルトの商人で、オニギスのアッカースンと
    裏で取引をしている者がわかりました。
    もと、オニギス人である、ジェイド.マンです。」




 イーノックの報告をアシュレは執務机に手を組み聞いている。



 イーノックがオニギスで摑んだ情報をもとに、密かに調べさせていた
 結果がでて、計画を次の段階にすすめることになった。



   「予定通り、証拠押さえにはいりますか。」



 イーノックがアシュレに問い、アシュレは大きく頷いた。



   「それでは、リューリ様にお願いして、ジェイド.マンに近づいて
    もらいます。それから、、、」

   「まて。」



 計画の確認をするイーノックをとめたアシュレは、眉間にしわを
 よせた。



   「どうかされましか。」



 リューリの名前がでて、動揺している自分がいる。

 リューリを使うことは、決まっていたことだ。

 それが的確な方法だということもわかっている。

 だが、、、、。

 だが、またリューリが傷でも負うようなことになったら、、、。

 心配して躊躇する自分がいて。

 そう心配する自分を、もう一人の自分があざけわらう。


 今さら何を躊躇う。

 リューリは政治上の駒のひとつにすぎないではないか。



   「陛下?」

   「なんでもない。続けてくれ。」
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