冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

   「失礼は承知だ。姫に話がある。人払いを命じる。
    さがっておれ。」



 皇帝の命令に、とまどって、エルダはリューリを見る。

 なにしろリューリは薄い夜着一枚を着ているだけだ。

 リューリは、はっと胸元を掻きあわせると



   「しばらくとなりの間にてお待ちいただけませんか。
    身支度をととのえてから参ります。」



 と言って、腰をおった。



   「そのままで、かまわぬ。」

   「しかし、、、。」



 そう言いかけて、リューリは、はっと口をつぐんだ。



 アシュレの自分を見る目が冷たい。

 先程まで、あんなににこやかな笑みをうかべていた人とは
 別人のようだ。



   「わかりました。」



 リューリはエルダを下がらせ、夜着の上にガウンをはおると
 もう一度、アシュレにむかって礼をした。

 
 顔をあげると、いつの間に近づいたのか、アシュレが目の前にいた。




 そうしてアシュレは今度は指先ではなく、
 リューリのやわらかい髪を一房つまみあげ、ぎゅっと、握りつぶした
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