冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
熱い吐息とともにはきだされるアシュレの震えたような声が
リューリの耳元で聞こえる。
リューリは素直にそっとアシュレの肩にもたれかかった。
今はただ、アシュレの腕の中が心地よかった。
結局、取引の現場をおさえることは出来なかったが、小屋からは
数々の証拠の品を押収する事ができた。
せめて馬車の確認が出来ていればと、リューリは悔しがったが、
アシュレは、そんなリューリに ”リューリが無事だったからよい”
と答えた。
リューリは戸惑っている。
あのときの抱擁といい、そんな事を言われると、まるで自分が
アシュレにとって大切な人であるかのように錯覚してしまう。
さらにあれ以来、アシュレはリューリのことを名前で呼ぶ。
以前は ”皇妃” と呼んでいたし、酷い時は ”おまえ” 呼ばわり
だった。
そのことも、リューリの戸惑いを強くしていた。
なんだか最近のアシュレはおかしい。
そういえば、冷たい目で見据えられなくなったなあと思う
どういうことだろうか、、、、?