完璧男子の憂鬱。
……違う。
違いますよ。
「あ、言い忘れてた!おばちゃんの名前は相沢晴美(はるみ)よ。凛子ともどもよろしく頼むわね。」
……晴美さん、
違うんですよ。
俺とこいつは友達じゃない。
よろしくって言われるほど
親しい仲じゃないんだ。
こいつが今日、俺を家に入れた理由。
俺を好きだからなんて理由じゃない。
ただ、おばさんを、
晴美さんを安心させたかったんだ。
ちゃんと、新しい学校でうまくやってる、心配しないでって。
勉強教えてあげるとか、ごはん食べていってとか、俺を家に居させる理由を必死で作って、
そうまでして、
安心させてあげたかったんだ。
俺を友達だと紹介したのもこのため。
俺は舞い上がっていたけど、
本当は少しも俺を友達と思ってないのかもしれない。
こいつの世界に、俺はいないんだ。