完璧男子の憂鬱。
そして、
追い抜く宣言をして早々、
入試をトップで受かった者がする
新入生代表あいさつの座を、
あいつに奪われてしまう始末。
相変わらず腹がたつが、
こんな事ではヘコタレない程に
俺は成長もしていた。
ステージで新入生のあいさつをしてるあいつの姿は、
小学生の時とほとんど変わらず
黒ぶちメガネに黒髪ロング。
今時こんな真面目で地味なやつ
他にいねーよな(笑)
入学式の最中、またあいつ友達できねぇかもとか思いながら1人ニヤニヤして座っていると、
ひそひそと話す後ろの男子の声が耳についた。
「なんか、今あいさつしてる人、エロくね?」
………は?
「あ、わかるかも!メガネって何かエロいよな。しかも今時珍しい黒髪だし。」
……なんだって?
「地味だけど、よく見ると可愛くねぇ?」
……ふざけんな、
誰だ。
あいつのことそんな目で見んじゃねぇ。
「あ、でもダメだよ、あいつ。俺同じ中学だったんだけど、全然喋んないし暗くってさぁ。気を使って放課後遊びに誘ってもすぐ帰るし。」
……はぁ?遊びに誘っただぁ?
調子こいてんじゃねぇよ、俺さえまともに相手にされてねーのに。
ってか、そもそもご飯作ったりとかしなきゃだから早く帰ってんだよ。
「大抵の女子は学食でわいわいしてんのに、あいつだけ弁当貫いててさ、1人でメシ食ってた。」
だから!
それは節約とか色々あんだよ!
あいつのこと良く知りもしねぇのに
気安く語ってんじゃねぇ!