完璧男子の憂鬱。
イライラした気分でHRを終え、帰ろうとしたその時、
「久柳くん、いたーーーーっ!!」
途端に黄色い声を上げる女子の集団が俺を取り囲む。
「やばい、ちょーかっこいい!」
「久柳くん帰るの?一緒に帰ろ〜!」
「連絡先おしえてー!」
……う、うっせぇ!!!
俺は相変わらずのモテモテで、
それは小学生の時からずっと変わらない。
邪魔くせぇ、ほんっと邪魔くせぇ!
と思いつつも、俺は紳士だから、
笑顔で受け答えをする。
「ごめん、俺用事あるから、帰らせてくれる?」
にこっと、王子スマイル。
この笑顔が女子達に効果てき面なのは
俺の経験上よく分かっている。
「そうなんだ!ごめぇ〜ん、久柳くぅん。」
「また誘うからねぇ〜!」
なんて甘ったるい声を出して帰って行く。
女子に大人気な俺を羨んで嫌う男も多いが、大変だなと同情してくれるヤツも少なくはない。
俺の友達もそのどちらかだ。
「くっそう、お前ばっかモテやがって本当ズリー!!」
「お前も大変だなぁ〜。」
なんていう様々な声に「まぁな。」と答えて俺は颯爽と帰る。
向かう場所は図書室だ。