完璧男子の憂鬱。
ある日。
あいつは突然やって来た。
「相沢 凛子です。よろしく。」
ぶっきらぼうに自己紹介した転校生こそが、あいつだった。
なんか、暗い。
全然笑わないし、地味だな。
なんて、第一印象では思ってた。
けど…
「相沢さん、すごい!悠くん抜いてテスト1人で満点だって!」
……は?!
「相沢さん、男子も含めて100メートルのタイム トップだって〜!」
……うそだろ?!
「悠くんが2位になってるの、初めて見た!相沢さんってすごいね!」
……なぜだ? ありえねぇ!!
初めはたまたま偶然だなんて思ってたけど、
あいつは来る日も来る日も俺を越えていって…
こんなこと、エリートの俺に
あってはならない大事件だ!
「お前!転校生のくせに生意気なんだよ!」
こんなお決まりのセリフ言ったりして、あいつにつっかかったりしたけど、
全部無視された。
「無視してんじゃねぇ!俺にそんな態度とっていいと思ってんのか?社長の息子だぞ!」
なんて威張り散らしたりもした。
でも、あいつは、
「……社長の息子だか何だか知らないけど、
それはあなたのお父さんが凄いのであって、
あなたが凄い訳じゃないでしょ。」
なんて言いやがる。
くそ。
こんな屈辱は初めてだ……!!