完璧男子の憂鬱。
まだ眠たいのか、少しぼーっとしている相沢のメガネを取った瞬間、俺の思考回路が完全にショート。
…………っ!!!!!
つぶらだと思っていた目は予想よりも大きくクリッとしていた。
暗そうな雰囲気のせいで曇っているように見えた瞳はとても澄んでいて綺麗だった。
自分の頬がカーッと赤くなっていくのが分かった。
「…ちょっと、メガネ!何も見えない!」
困り果てたように訴えてくる相沢。
クリッとした目が必死に俺をとらえて見上げていて……
そんな姿に、俺の目は釘付けになる。
……こいつ、こんなに…///
いつも落ち着いてて表情を崩さない相沢が、慌てている姿が愛らしくて仕方ない。
"メガネって何かエロいよな。"
その言葉に腹が立って、メガネを取ろうと思った。
だけど、
"良く見たら可愛くねぇ?"
この顔を見せるくらいならメガネの方がいい。
「…相沢、俺の前以外でメガネ外すの禁止。」
そう言って、そっと相沢にメガネを掛けなおす。
俺はずっと、こいつのことをライバル視して生きてきた。
だけど、
寝てる間に少し触れた髪の柔らかさ。
眠たそうにしている顔。
大きく澄んだ瞳に長いまつげ。
かすかに感じる、小学生の時とは違う甘い大人のシャンプーの香り。
その一つひとつに惹かれている俺がいる。
「…なにそれ、意味不明。」
相変わらずの素っ気ない態度だけど、
俺はこの日、
相沢は女の子だと気付いてしまったんだ。