完璧男子の憂鬱。
私と久柳の不思議な関係《 凛子 side 》
《 凛子 side 》
高校3年、冬。
私には大きな目標がある。
それは、今まで1人で私を育ててきてくれたお母さんに楽をさせてあげること。
そのためなら努力は惜しまない。
そして今日は、そんな母の誕生日。
部屋を軽く飾り付けして、ホールケーキと少し豪華な料理を作って、2人で祝うのが毎年の恒例になっている。
…うん、そのはずなんだけど。
「晴美さん、お誕生日おめでとうございますっ!これ、プレゼントです♪」
と言って、満面の笑みで話すこの男は久柳。
当たり前のように我が家の食卓へ座り、なんの遠慮もなくご飯とケーキを食べる。
なぜかここ数年、この男も一緒になって、3人で祝うようになっていた。
しかも、
「わぁ〜、久柳くんありがとう!開けてもいい?!」
お母さんは久柳を気に入っている。
……いつの間にこんなに仲良くなったんだか。
(しかも、いつの間にかメル友だった)
「わぁ〜、可愛いバッグ!ありがとう!」
「見た瞬間、晴美さんに似合うと思ったんで♪」
…ほんと、この状況が謎。
昔から友達がいない私のことを母は心配していたけど、久柳の存在を知ってからはそんな心配もしなくなった。
かといって、私と久柳が友達なのかは謎なんだけれど。