完璧男子の憂鬱。




「どんどん食え、たんと食え。」




相変わらず節約ばかりして食費を気にしている相沢に、少しでも美味いものを食べさせてやろうと、こうしてちょくちょく呼び出しては奢ってやっている。
(とか言って、ちょっと会いたいだけ)



ディナー以外でも、大学の学食を奢ってやったりすることも多い。
(お昼一緒に食べたいだけ)




ようするに、俺は、
こいつの家庭に役立っていると言える。





それなのに、




「どうして20歳の貴重な夜に、久柳と過ごさなきゃならないの。…ご飯なら行くけど。」




相沢曰く、夜は自主学習や家事にあてる時間だから、無駄には出来ないのだという。





ほんと、何でこんな女を俺は……。




認めたくない、


認めたくないけど、




「久柳、私とご飯食べててもいいの?あの可愛い彼女は?」



「別れた。」



他の女と付き合ってみても、


結局はこいつの元に戻ってきてしまう。




「…久柳、別れるの早すぎない?」




…うん、付き合って3日だったな。




自分の気持ちを否定したくて


可愛い子と付き合ってみたけど、


結局は俺が別れ話をした。




せっかく可愛い彼女といるのに、


俺の頭には違う奴のことばっかり浮かんで。





……本人は全く気づかねぇけど。






だから、ご飯を誘うのは せめてもの餌付け。

他に手はない。






ほんと、こいつには何処までも敵わない気がする…







< 27 / 43 >

この作品をシェア

pagetop