完璧男子の憂鬱。
「どんどん食え、たんと食え。」
相変わらず節約ばかりして食費を気にしている相沢に、少しでも美味いものを食べさせてやろうと、こうしてちょくちょく呼び出しては奢ってやっている。
(とか言って、ちょっと会いたいだけ)
ディナー以外でも、大学の学食を奢ってやったりすることも多い。
(お昼一緒に食べたいだけ)
ようするに、俺は、
こいつの家庭に役立っていると言える。
それなのに、
「どうして20歳の貴重な夜に、久柳と過ごさなきゃならないの。…ご飯なら行くけど。」
相沢曰く、夜は自主学習や家事にあてる時間だから、無駄には出来ないのだという。
ほんと、何でこんな女を俺は……。
認めたくない、
認めたくないけど、
「久柳、私とご飯食べててもいいの?あの可愛い彼女は?」
「別れた。」
他の女と付き合ってみても、
結局はこいつの元に戻ってきてしまう。
「…久柳、別れるの早すぎない?」
…うん、付き合って3日だったな。
自分の気持ちを否定したくて
可愛い子と付き合ってみたけど、
結局は俺が別れ話をした。
せっかく可愛い彼女といるのに、
俺の頭には違う奴のことばっかり浮かんで。
……本人は全く気づかねぇけど。
だから、ご飯を誘うのは せめてもの餌付け。
他に手はない。
ほんと、こいつには何処までも敵わない気がする…