完璧男子の憂鬱。




いつものように学食へ行くのかと思いきや、校舎裏の小さな裏庭へ連れて行かれた。





今日は一段とポカポカして気持ち良い天気で、


更に裏庭は絶妙な日当たりと木陰で人気のスポットで、小さな2人がけくらいのベンチなんかも置いてあって、



こんな日はカップルがここでランチしててもおかしくないような、そんな日に。



そんな日に相沢から誘われて、カップルもいなくって、天気も最高で。



天も周りの何もかもが味方してくれているような状況に、普段の俺なら完璧に思い上がっているだろうなとか思う。



とても今日の俺はそんな元気はない。



....はず。



「久柳、ここ。」



先に2人がけのベンチに座っていた相沢が、自分の隣をポンポンと叩く。



まるで、隣に座ってと招いているような。




普段の俺ならここで最高潮の歓喜と動揺を発症させているだろうな、とか思えるくらい今日の俺は冷静だった。





....いや、ショック受けてるんだよな。昨日のこと。





「久柳、はやく。ご飯作ってきたの。」



そう言って再度、自分の隣をポンポンと叩く。



これは確実に、隣に座ってというサインだ。




.....くそ、なんだこれは。




せっかくこっちが距離を置いて落ち着こうとか思ってる矢先になんだこれは、拷問か?!




相沢から迎えに来たことも、人気がなくてイチャイチャできるカップルご用達のスポットに連れてこられるのも、



隣に座れとこんなに可愛く誘ってくるのも、相沢が俺にご飯を作ってくるのも、普段ならあり得ないだろう!!!



「はやく座って。」





....俺はショック受けてるんだよ。


その辺わかってんのかよ。





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