完璧男子の憂鬱。
思い返せば、あの日からだ。
久柳に呼び出されてご飯を食べていたあの夜。
急に久柳の体調が悪くなって、タクシーに突っ込んで帰らせたあの日から。
次の日やたらと元気がなかったが、お弁当を完食してくれてからは普段の久柳に戻ったと思っていたのに。
一体どうしたというのだろう。
……やはりお弁当はお肉中心の方が良かったのだろうか。
あの夜、思いのほか早く帰宅した私を疑問に思った母に、久柳が体調不良で帰ったのだと説明すると、弁当を作って行けと言われた。
外食ばかりで栄養が心配だし、いつもご馳走になってて悪いから、と。
(勝手に家に上がっていくときにいつも夕食をご馳走してるのに、とは思ったが)
確かにかなり顔が青白かったし、少し心配ではあったから、素直にそうした。
私なりに色々と考えて、久柳のためにとしたことだったのだけれど。
口に合わなかっただろうか。
美味しいとは言ってくれたし、それを疑う訳でもないが、
もうこれ以外よそよそしさの原因が思いつかない。
……いや、お弁当くらいで よそよそしくなるのも変だとは思うけど。
もう本当に、他に理由が思い浮かばない。