完璧男子の憂鬱。
「なんのことだか分からないけど、別に秘密にしてることなんて無いよ」
俺とあいつの顔の距離は約20センチ。
こんな近距離で俺の顔を覗き込むように 言うもんだから、思わずドキッとしてしまった。
……あ、いい匂い、シャンプーかな。
「ねぇ、聞いてるの?」
…はっ、しまった!
つい固まってしまった!
「き、聞いてるよ!しらばっくれてもダメだぜ、全部暴いてやるからな!!」
「だから、何を?」
「じゅ、塾通ってんだろ?!でなきゃあんな点数取れるわけねぇ!ど、どこの塾行ってんだよ!」
くそっ、
なんでこんな口ごもって動揺してんだよ俺!
こんな女なんかに…
俺は、自分でも自信を持って言えるほど
ものすごく女にモテる。
別に何もしなくても、
勝手に寄ってくるんだ。
そんな風に、女に黄色声を上げさせる程
整った顔立ちをしているのに…
なんで、
なんでこの女はこんなに顔が近くても
いつもの様に表情を崩さないんだ。
他の女ならキャーキャー騒ぐか、
真っ赤になって走り去ったりとか
してもおかしく無いのに、
なんで こいつは
こんなにも平気そうなんだ…
くそっ、
なんで俺ばっか意識して動揺してんだ…!