キャラメルに恋して
「お前ら~HR始めるぞ~」
いつもは普通にジャージの杉っちはなぜだか、新品のスーツに身を包み、背筋をピンとさせ教室に入ってきた。
言葉こそやる気がなさそうだが、その声には張りがあって気合が入っているって事が伺える。
何が杉っちをここまでさせたのか……、それはやっぱり。
「え~、知ってい奴もいると思うが、今日は新しいクラスメイトが来ている。ビックリするなよ?カッコイイんだ。まぁ…俺の方がカッコイイがな。じゃあ、入って来い」
妙にテンションが上がっている杉っちは、なんだか言っているけど皆の耳には入っていない。
クラス全員の視線は、教室のドアに集まっていた。
――――ガラララッ…
息を呑んで見守る中、聞きなれた教室のドアが静かに開いた。
「き……」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その瞬間、教室中の女子たちの黄色い声援が飛び交った。
その声の大きさに、周りにいる男子や杉っち……そして今入ってきたばかりの愛しの隼人が目を大きくして驚いた。
私の横の席の麻耶も、机からはみ出すぐらいに身を乗り出してきゃぁきゃぁ言ってる。
そんななか私は、隼人の姿に釘づけだった。